日本でもNFTの普及が徐々に増えてきました。今現在は、主にOpenSeaマーケットプレイスを利用したアート作品を中心に取引がされているようです。それ以外にも、NFTには様々な分野での活用が期待できます。
中でも、NFTとチャリティーは非常に相性が良いのではないかと思います。
本記事では、具体的な事例をご紹介しつつ、NFTとチャリティーの利便性について考えてみたいと思います。
尚、本記事は令和3年10月に執筆したものであり、下記に表示する取引量・ETH等はその当時の相場を元にしています。
(※本記事で掲載している画像は全てイメージです)
NFTとチャリティの相性が良い理由
具体的に、どのようなところが相性が良いかというと、
ポイント
- 二次流通によるロイヤリティ
- 流通の透明感
- 支援対象が世界規模
この3点が挙げられるのではないかと思います。
二次流通によるロイヤリティ
NFTの1番の魅力であると言える二次流通。そこにはロイヤリティが発生します。
しかも、売買が約定する度に。
この点がチャリティにはとても相性が良いと思われます。
多くの支援活動や寄付活動というのは、一回だけ支援して終わりというわけではありません。継続的にする必要があります。
今現在で、東日本大震災の復興のために支援されている方はどれほどおられるでしょう。まだまだ必要であるということは認識していますが、徐々に感情は薄れていってしまいます。人間というのは、良くも悪くも忘れてしまう生き物です。
NFTをチャリティーに導入することで、継続的、かつ自動的に支援が届けられます。
また、今までは二次流通(転売)されることはマイナスイメージしかありませんでした。
しかし、NFTの登場によってこれがプラスイメージに変わります。誰一人として損をしない、正に「三方良し」の状態になるのです。
ただ、NFTを提供されるアーティストの方の中には「転売は嫌だ」と仰る方もおられるかもしれません。この点については、理解を深めて、納得して頂く他ないでしょう。転売禁止にすることも可能ですが、NFTを利用したチャリティーの意味が無くなってしまいますね。
流通の透明感
NFTには、ありとあらゆる情報がブロックチェーン上に刻まれていきます。「誰が誰と取引をしたか」「いつ取引をしたか」「その時の単価は」など事細かに。
取引の履歴が一目でわかり、尚且つ決して不正行為や改ざんは出来ません。誰もが認めざるを得ない情報が刻まれていくのです。
そこには、圧倒的な信頼があります。
世間では、寄付やチャリティーと称して詐欺紛いの行為をされる方がおられます。しかし、NFTを導入すると、そのようなことは絶対に出来なくなります。
流通に透明感を持たせることにより、より支援されやすくなると思います。
世界規模
NFTでチャリティーを行うなら、その支援は仮想通貨が使われます。仮想通貨に国境はありません。つまり、その支援活動が世界に届くものなら、世界中から支援が集まるということになります。
これも大きな魅力と言えるでしょう。
ただ、税務や法務に関してはまだまだ課題はあるようです。
以上の3点が、主な利点と言えます。
日本と世界の具体例
それでは、具体的な事例をいくつかご紹介しましょう。
日本初!NGO団体が主催するNFTチャリティーオークション開催
特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO団体であるPLASによる、NGO主催では初めてとなるNFTチャリティーオークションが開催されます。
NGOというのは、貧困・飢餓・環境など、世界的な問題に対して取り組む市民団体です。
PLASは、日本のNGO団体の中でもトップクラスであると言われています。
そんな素晴らしい実績をお持ちのNGO団体に作品提供されるのは、日本のNFT界を牽引するイケハヤさんです。イケハヤさんが運営しているCrypto NinjaNFTのコレクティブル作品から一点が提供されることになりました。
50体のリリース予定されている中の20番目のNFTで、チャリティーをイメージし「菩薩」をテーマに作られているそうです。その名も「サットヴァ」。
とても愛らしく、救済のイメージがよく表現されています。
NGO主催としては、日本初の試みとなるこのチャリティーオークション。イケハヤさんの思いとしては3〜5ETHくらい(日本円で150万円)くらいで落札されれば嬉しいとのことです。
PLASの代表である門田(もんだ)さんとイケハヤさんは、10年以上前からお知り合いだったそうです。NFTを通じてお二人のお仕事がまた再びクロスするということは、とても素敵なことのように感じます。
オークションの開催は10月18日からとのことなので、今後の動きが気になりますね。
※関口メンディーさんが14ETH(約660万円)で落札されました!!(10/24)
>>>プレスリリースサイトへ
>>>「PLAS」サイトへ
※お二人とも音声メディア「Voicy」のパーソナリティをされています。とても有益な情報が聞けますので、ご興味のある方はぜひとも聴いてみて下さい。
>>>Voicyサイトへ
KIZUNA チャリティープロジェクト
グラコネという会社が著名人のデジタルアートをNFTとしてチャリティーオークションを実施しました。第二弾の企画ということで、今回はアイルランドのKevin Abosch氏が作品提供をされました。
Kevin氏はOpenSeaマーケットプレイスで出品されており、どれも斬新な作品ばかりです。中でも「1111」というシリーズのvolume taraded(総売り上げのようなもの)は5600ETH。日本円で約22億円以上。クリプトアートの世界では知らない方はおられないくらい超有名人です。
今回のチャリティで集まった収益は、コロナ禍で生活苦に陥った10代をサポートする「認定NPO法人DxP」に寄付されるそうです。
ご存知の方も多いとは思いますが、NPOというのは持続的な社会貢献活動を目指す営利目的のない団体のことです。
D×Pはこれから時代を担う若者世代を支援する団体です。このチャリティーオークションを通じて若者にもNFTを知ってもらうきっかけとなったかも知れませんね。
>>>詳細ページへ
フレディマーキュリー氏モチーフのNFTがチャリティーオークションに
イギリスの超有名ロックバンドであるクイーン。ボーカルであったフレディマーキュリー氏をモチーフにしたNFTが発行され、チャリティーオークションが開催されました。
SuperRareのマーケットプレイスで、計4点のNFTアート作品が出品されました。その売り上げは、慈善団体「マーキュリー・フェニックス・トラスト」に寄付されるそうです。この団体は、フレディ氏が亡くなられてからバンドメンバーが設立されたチャリティー団体で、HIVやAIDSの啓蒙活動を行われています。
今年はフレディ氏の生誕75周年、またクイーンの音楽活動50周年にあたり、それを記念したチャリティーオークションになるようです。
>>>参考サイトへ
マドンナとブリトニーのキス写真がNFTに?
2003年の出来事。MTVビデオ・ミュージック・アワードのパフォーマンス中に、マドンナとブリトニー・スピアーズがキスをした事が、今でも名シーンとして取り上げられます。この写真画像がNFTとしてチャリティーオークションにかけられました。
MTVビデオ・ミュージック・アワードというのは、アメリカのMTVが主催するミュージックビデオの祭典で、世界最大規模の音楽イベントです。
CryptograghというNFTマーケットプレイスで販売され、アメリカのNGO団体「GLAAD(グラード)」に寄付されます。
「GLAAD」はLGBTの人々の支援、啓蒙活動を行う団体です。
>>>参考サイトへ
まとめ
世界では、他にもたくさんのNFTを利用したチャリティーオークションが開催されているようです。日本は始まったばかりで、これから間違いなく発展していくでしょうね。
一つ、懸念点として、法定通貨ではなく仮想通貨での支援であるということ。相場は絶えず変動するので、どのような扱いになるのでしょうか。私は税理士でも会計士でもありませんので何とも言えませんが、何らかの解決策は必要となるでしょう。
始まったばかりの試みですから、これからも様々な問題が出てくると思います。数年後には、NFTチャリティーオークションが当たり前になっているかもしれません。全ての人が安心して支援できるような体制になっていれば嬉しいです。
そのためには、まずはNFTそのものをもっと多くの方に知っていただく必要があります。
NFTに関する記事も書いていますので、よろしければそちらもぜひご覧になって下さい。
この記事で、少しでも多くの方がNFTやチャリティに関心を持っていただければ嬉しく思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。